”あの一行”を知らないひとへ。
<あなたは幸せ者です。これから、あの衝撃を知れるのだから>
どうも、アヤジツストのラシクです!
嬉しい?ニュースが飛び込んできたので、早速記事にしています。
あの!
実写化不可能!!
そう言われ続けていた日本ミステリー小説の金字塔「十角館の殺人」がついに映像化!!!
アヤツジストのラシク、大歓喜!!!!!・・・かな?
手放しではまだ喜べません。
著者の綾辻行人さんも「どうやって実写化するの?できるの?」とおっしゃっています。一度でも同作を読んだことがあるひとは、絶対にこの疑念を抱くはずです。
さて、どんな作品なのか。気になりませんか?
そして、いきなり冒頭の自己紹介で「アヤツジスト」という単語が出てきましたね。これもまた聞き慣れない言葉ですよね。
「十角館の殺人」とは何か?
著者「綾辻行人」と「アヤツジスト」とは何か?
あ、めちゃくちゃ長くなるので【目次】を参考にしてください。
はじめに子育てと読書について
毎日の子育て、お仕事・家事など本当にお疲れ様です。
どこかでひと息つけたり隙間時間ができるならば、ママ・パパであることを忘れて、娯楽に興じましょう。
ラシクにとって、その一つが読書でした。
特に2019年秋に長女が生まれ、寝れない日々が続いていました。子どもが寝たタイミングで家事を終わらせ、一緒に寝ないと体が持たない状況に心身ともに疲労困憊でした。
特に心がすり減っていくのが自覚できました。
そんなとき、2020年9月に綾辻さんの最新作「Another2001」が発売され、飛びつくように購入したことをよく覚えています。
子供が寝ているときはもちろん、一人遊びを5分・10分でもしてくれたら、同書を読み進めていきました。
テレビや映画と違って、さっと読み止めることができる。再開することにも何の準備もいらない。そのため、ラシクにとって小説や漫画を読むことは子育ての合間にできる、かなり有効なサボり方でした。
何より、疲れた心に少し人間らしさが取り戻せた気がしました。
ありがとうございます、綾辻行人さん!
あの夜泣き地獄の日々を頑張れた要因のひとつに、綾辻さんの作品がありました!
おかげさまで、上手な子育てのサボり方を身につけました(笑)
2024年3月22日(金曜日)、huluで独占配信される「十角館の殺人」
金曜日っていうのがまた良いよね。
ジェイソンの13日の金曜日しかり、アヤツジストとしてはテレビ朝日系の名作企画「安楽椅子探偵シリーズ」も金曜日だったはず。ミステリにおいて、金曜日は特別な気がします!
さて、hulu公式HPから大事なことを抜粋していきます。
ティザービジュアル・超特報映像が公開
2023年12月21日に映像化決定の速報とともにティザービジュアルと特報映像が公開されました。
そちらをご覧ください。
「綾辻行人」と「十角館の殺人」とは何か?
hulu公式HPより抜粋しますね。
「館」シリーズの記念すべき第1作目にして、綾辻行人史上最高傑作の呼び声高い作家デビュー作『十角館の殺人』(講談社文庫)の待望の実写映像化が決定!
緻密かつ巧妙な叙述トリックで読者をその世界に引き込みながらも、たった1行で事件の真相を描くという大胆な手法でミステリー界に衝撃を与えた名著『十角館の殺人』。その特異性から、長年映像化は不可能と言われ続けてきました。
そして、今なお色あせることのない本作の功績が讃えられ、2023年10月に発表されたタイム誌が選ぶ【史上最高のミステリー&スリラー本】オールタイム・ベスト100に選出され、ドストエフスキー『罪と罰』、アーサー・コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』、スティーヴン・キング『シャイニング』、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』など世界の名だたる作家そして名著と肩を並べる快挙を成し遂げました。
「十角館の殺人」のあらすじ(hulu公式より引用)
物語の舞台は1986年、十角形の奇妙な外観を持つ館“十角館”が存在する角島(つのじま)。この館を建てた天才建築家・中村青司(なかむら・せいじ)は、焼け落ちた本館・青屋敷で謎の死を遂げていた。半年後、無人島と化していた角島に、大学ミステリ研究会の男女7人が合宿で訪れる。その頃、海を隔てた本土では、かつてミス研メンバーだった江南孝明(かわみなみ・たかあき)のもとに【死んだはずの中村青司】から1通の手紙が届く。<十角館に滞在するミス研メンバー>と<死者からの手紙>。「偶然とは思えない」―。江南は調査を進めるなか、島田潔(しまだ・きよし)という男と出会い、行動を共にしていく。
一方“十角館”では、ミス研の1人が何者かに殺害される。「犯人は一体誰だ?」疑心暗鬼に陥り、互いに仲間を疑いはじめるメンバーたち…孤島である角島から出ることができるのは、1週間後。2つの物語から起こる【想像を超えた衝撃の結末】とは。
hulu(フール―)は人気映画・ドラマ・アニメ・バラエティ番組が見放題。テレビ・パソコンの大画面だけではなく、スマートフォンやタブレットなど”いつでも、どこでも”自分の好きな映像作品を楽しむことができます。
「十角館の殺人」を観るなら、huluだけ!
ミステリー好きには胸熱の展開
逃げ場のない無人島!
連絡手段が断絶された孤島!
そこで起きる殺人事件!!!
このありふれたシチュエーションでも、めちゃくちゃ燃えてきますよね。
THE・ミステリーの王道って感じ。
さて、ありふれたと書きましたが、本当にありふれたものなんでしょうか?
「十角館の殺人」の初版が発売されたのは1987年。
「金田一少年の事件簿」の連載開始が1992年。
「名探偵コナン」の連載は1994年に始まりました。
「十角館の殺人」のほうが先なんですね。
日本ミステリー界で”新本格派ムーブメント」は始まったきっかけとされるのが、綾辻行人著の同作です。
火付け役となるくらい同作には読者を惹き付ける大きな魅力があります。
それはどんな魅力かな?
ざっくり言うと、綿密に張り巡らされた伏線、秀逸なトリック、そして大どんでん返し、です。
これもまたミステリーとしては当たり前の要素が挙がりました。
当たり前のことを何気ない顔で読者を惹き付けていく。
それが抜群に上手いのが綾辻行人氏だと思います。
その人柄や作風について、まとめていきましょう。
綾辻行人とは何者か?
日本のミステリー作家で、いわゆる本格派ブームの立役者と言われています。
作家以外の一面としては猫好き、麻雀好き、PUI PUIモルカーが大好きなおじさんです。
詳しいことは、今の時代はたいていWikipediaで情報が載っていますので、作品リストや生い立ちはそちらを参照ください。
ここでは個人的な意見を述べていきます。
アヤツジストと呼ばれるファンたち
綾辻行人氏の作品のファンは総じて「アヤツジスト」と自身のことを呼びます。
もともと綾辻行人氏の知名度はミステリファン以外では決して高くない。
もしかして、この記事を読んで初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方でミステリー小説好きのひとの間ではかなり著名な作家さんです。
そのため、SNSなどで自身のことを「アヤツジスト」と呼び、ミステリファン同士のコミュニケーションを図り、作品の感想を言い合うなど、作品外でも楽しむようにしています。
さて、日本文学界において綾辻行人はどれくらいの存在感を示しているのでしょうか。
hulu公式HPでは、世界の名だたる作家そして名著と肩を並べる快挙を成し遂げた称されていました。
さらに違った側面から観ると、日本文学史においての綾辻氏の偉大さが分かります。
それは第5シーズンまで制作されている大ヒットアニメ「文豪ストレイドッグス」の作中に、綾辻行人氏が登場しています。
往年の大作家たちと肩を並べる、「文豪ストレイドッグス」に登場
同マンガ・アニメは太宰治・芥川龍之介・江戸川乱歩・樋口一葉など日本文学史に名前を残す作家たちが、その文才を冠した異能力を駆使して戦うアクション作品になっています。
基本的にすでに亡くなられた偉大な作家たちが登場しますが、作中に綾辻行人氏は数少ない現代作家として登場しています。
同作品の作者「朝霧カフカ」さんの中では、綾辻行人さんはそれほどの評価ってことですよね。
それほど有名なのにミステリファン以外への知名度が低いのはなぜなのか?
ラシクの個人的な感想としては、遅筆であることが関係しているのではないかと思います。
非量産型作家のため、作品を待ち望むことができる
綾辻氏の作品は数年に1冊、出版されたら良いほう。
これは遅筆なのか、その作風ゆえ綿密なトリックを構築するために時間がかかるからか分かりませんが、出版頻度はかなり低いです。
1987年、十角館の殺人で作家デビューし、そこから「館シリーズ」が始まりました。
2023年まで9つの館シリーズが一冊の本として出版されています。
そして、10シリーズ目の「双子館の殺人」が2023年7月から連載が始まっています。
さて、9つ目の「奇面館の殺人」の初版はいつ刊行されたのでしょうか?
2012年!!!
はい、約10年以上、館シリーズは出版されていません。
でも、何の問題もありません。
アヤツジストは、待つことに慣れていますから。
待つ甲斐がそこにはあるんです。
綾辻氏が綿密に張り巡らせる”叙述トリック”は10年以上待つ価値があると思っているからです。
叙述トリックとは何か。
何故、「十角館の殺人」が”映像化不可能”と呼ばれているのか。
それはあまりにも”叙述トリック”が秀逸すぎて、小説の中でしかそれが実現(表現)できないからです。
さて、叙述トリックとは何か。
簡単に説明すると、”読者の先入観を巧みに利用し、ミスリードへと導く、最後に驚きを与える小説技法”です。
これは文章のみで構成される小説という世界でしか味わえない技法になっています。
なんだ、読者を騙しているのか、卑怯じゃないかって思うひともいるでしょう。
綾辻氏の作品のほとんどはいわゆる”本格派ミステリー”と呼ばれていて、読者は完全な公平さを約束されています。
完全な公平さって何よ?
本格派ミステリーとは、「作中に全ての真実が隠されている」ことが醍醐味。
小説におけるミステリーや殺人事件と聞くと何をイメージしますか?
殺人事件が起きて、その犯行を暴くために”探偵あるいは警察組織、はたまたその場に居合わせた一般人”が犯行トリックを解明していき、犯人を追い詰めるもの。
こんな感じではないでしょうか?
国民的アニメの名探偵コナンや金田一少年の事件簿が良い例ですよね。
漫画ではなく、小説ですので最低限の挿絵以外は文章のみで構成されています。
読者の想像力が鍵になってきます。そこを巧みに利用するのが”叙述トリック”ですが、読者を騙すことが目的であっても、読者に不公平さを強いるものではありません。
作中の文章の中に『全てのヒント』が隠されている。
トリック解明のときに、「そんなこと知らんかったわー!」ということがありません。
探偵役と同じ情報量が提示されていて、もしくはトリック解明に必要なネタが全て文章の中に開示されているのです。
そのため、読者は一字一句を丁寧に読み上げ、もう騙されない・犯人を言い当てやる、その気概で読み進めます。
が、見事に騙されます。
そして、明かされた真実は全て作中に隠されているのだから、驚嘆の声を上げ、賛辞の言葉を投げかけるしかありません。
それが新本格はの楽しみ方の一つです。
騙されないぞと思って、納得のできる騙されかたをしてしまう。
これは癖になりますよー!
映像化不可能”あの一行”の衝撃を知って欲しい。
この記事の冒頭でも書きましたが、”あの一行”の衝撃を知らないひとは、幸せ者だと思います。
これからあの凄さを知ることができるのですか。
初見の驚きや感嘆は、再読すればするほど薄まっていくものです。
ラシクはもうあの衝撃を味わうことができません。でも、あの感覚を忘れることはできません。
これからそれを体験できる、未読の方が本当に羨ましい。
幸せ者だよ、本当に。
以上のことから、綾辻氏の作風について少しでも知って頂けたと思いたい。
作品の大半が綿密かつ大胆すぎる叙述トリックで構成させれています。
構成の段階からかなりの時間を要していると安易に想像ができるので、刊行数の少なさは納得です。
さらに小説技法をふんだんに駆使しているため、映像化が困難な作品ばかり。
そのためドラマ化や映画化される作品も少なく、そのことがミステリファン以外の知名度が低い原因になっているんじゃないかな。
綾辻氏の代表作にはたくさんある”衝撃”
「十角館の殺人」だけではなく、館シリーズ全般や他作品にも似たような驚きがたくさんあります。
その中で、ラシクが特に記憶に残っている3作品をピックアップします。
参考にして、是非とも読んで欲しいものです。
館シリーズは除外しています。
Anotherシリーズ
Another、AnotherエピソードS、Another2001と3作品がシリーズとして出版されています。
特に、Anotherはメディアミックス展開されていて、小説・アニメ・漫画・映画と様々な分野で作品として公開されました。
綾辻行人の名前を知らなくても、もしかしたらこの作品名は知っているひとは多いかもしれませんね。
あくまでもラシクの個人的な感想ですが、Anotherを読了したあとの衝撃は「十角館の殺人」以上でした。
こんな叙述トリック、ズルすぎる!(良い意味)
※商品リンクは「Another(上)」
霧越邸殺人事件
これは珍しくシリーズ化されていない単発作品になっています。
これもまた、ラストのどんでん返しから、悔しいほど納得されるトリック解明には驚きを隠せません。
ネタバレになるから、何も書けないのもまた悔しい。
商品リンクは「霧越邸殺人事件(上)」
殺人鬼シリーズの1作目「殺人鬼」
ミステリーというより、スプラッター小説に分類されてもいい作品。
とりあえず、読み終えたあとは、肉が食べれなくなりました。食欲もなくなります。
殺人鬼により殺戮があまりにも鮮明に描写されていて、読書の想像力に委ねられる小説ゆえに、自分自身が切り刻まれ、蹂躙されているかの錯覚に陥ります。
その中でもしっかりと新本格派としての工夫が組み込まれていて、最後は大納得の真実が解明されていきます。
やっぱり、この作品はミステリーとして分類されるべきかな。
これもまたスプラッタ部分以外のトリックが絶対に映像化はできないと思います。
作品の最終形である文庫版・電子書籍がオススメ。ハードは鈍器になるよ。
作中の文章は小難しく感じるかもしれません、作品構成がしっかりとされていて、とても読み進めやすくなっています。
本格ミステリということもあり、探偵役と完全なフェアな状況下で読むこと自体に集中して、楽しむことができる。時間泥棒的な作品たちです。
是非とも、ドラマの放送前に読んで欲しいと思います。
あと、今から購入するなら持ち運びしやすい文庫版か電子書籍がオススメです。
小説はハードブック(新書)が発売され、初版から改訂が重ねられて、文庫版として再発売されることが多いです。
要は文庫版がその作品の最終形である、と言っても過言ではありません。
読むなら、一番良い状態で読みたいですもんね。
ちなみに、ラシクは待てないアヤツジストなので、初版を買って、読みふけます。
値段が高い上に、綾辻さんの作品は”鈍器”になるくらいぶ厚いので読み進めるだけで、腕の筋トレになりますよ。
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